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「‥‥四宮さん、宜しかったら、お夕食も一緒に如何ですか?」
「え‥‥いいのかな?」
何故か四宮さんは俺の顔を伺い、俺はコクコクと頷いた。
‥‥一応この家の相続人は俺だし、
愛人よりも俺の方が立場が上なのかも知れない。
「では、準備して参りますね」
沙織は何故か嬉しそうに居間を後にした。
それから沙織が料理をしている間、俺は四宮さんと共通の話題である両親の話をした。
中には息子の俺でさえ知らない両親の思わぬ一面を知る事が出来て、それなりに楽しい時間を過ごした。
でも‥‥
「‥‥ねぇ、四宮さん。
そんなに両親と仲が良くて、
沙織さんの気?みたいなのまで分かるのに‥‥どうしてあの日、両親は死んだの?」
俺の質問に、四宮さんが息を飲んだのが分かった。
こんなの、ただの言いがかりだって自分でも分かってる。
だけど。
だけど、言わずにはいられなかった‥‥。
「‥‥‥‥あの日、確かに悪い予感はしてた。
けど何がどうなるかまでは分からなかった。
僕が分かるのは、近くの気ぐらい。
万能ではないんだよ‥‥」
四宮さんの両膝に置かれた拳がギュッと力強く握られた。
責めたい訳じゃない。
頭では分かってる。
でも、気持ちが追いつかない‥‥
沈黙が続く中、
「お食事が出来ましたよ~♪」
重厚な扉を軽快に開け、今にも踊り出しそうな程バカみたいにテンションの高い沙織に、俺は、救われた。
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