プロローグ

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電話の内容はこうだ。 相手は警察で、両親が交通事故で死んだと。 最初はあまりの内容に『新手の詐欺か』と現実逃避したが 話を聞くに連れ、俺は体から血が引いていくのが分かった。 それから言われた病院に着くと、そこの霊安室に両親は横たわっていた。 外傷はほぼ無し。 本当に死んでるのか?と思ったが 握った手に温もりが無く、俺は死を受け入れる他なかった。 毎日のように口喧嘩していた俺と両親たち。 なのに涙は止めどなく溢れ、俺は赤子のようにその場に泣き崩れた。 それからは親族たちがやれ「火葬場の手配だ」だの「葬式の日取りを」だの騒いでいたけれど、俺にはすべてが現実の物とは思えなかった。 ただまっすぐに伸びてゆく火葬場からの煙だけが、俺の頬に涙の筋を作った。 葬式も終わり、涙も枯れたのか 俺は何も感じずに両親の遺品を整理していた。 別に捨てたり部屋の模様替えをしようってんじゃない。 遺産の相続やら公共料金の支払い等まったく手を着けていなかったのでやらざるを得なかった。 そんな時、役場で相続の手続きをしていると 父親が家を二件所有している事が分かった。
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