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始発の電車に乗って、飛行機に乗り換えて、その県から新幹線で更に県を跨いで‥‥
始発に乗ったにも関わらず、地図に記された土地に着く頃には日が真上から傾いていた。
「お客さんも珍しいですね。あの村にわざわざ行こうなんて。実家か何かですか?」
最寄りの駅からのバスは一日一本。
待ちきれなかった俺はタクシーに乗っていた。
「いや‥‥俺の実家ではないんですけど‥‥まぁそんなトコです」
…そう。
俺は一週間のうちにこの【家】についてもう少し調べていた。
するとこの家は父親の生まれ育った家だと分かった。
だが父親の実家は家の傍にあり、お祖母ちゃんが亡くなるのと同時に取り壊している。
だからこの、昔の実家を維持する理由が皆目検討がつかない。
「珍しいって‥‥そんなに人気(ヒトケ)の無い村なんですか?」
「それはそうですよ‥‥。
買い物するにも一日一本のバスに乗るしかないあの村は、今じゃ10件も家が無いんじゃなかったかな」
「そんなに!?」
そこまで貧村だとは想像してなくて、俺は思わず声を上げた。
不安を感じた俺はコンビニに立ち寄って貰い、
カップ麺や缶詰を買い漁った。
長居するつもりはないけど何かあった時にすぐに抜け出す事が出来ないのだと…分かったからだ。
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