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村はやはり貧村だった。
タクシーが突き進む、先の見えない位どこまでも続く一本の道から
緑の間に垣間見える民間までの間は舗装のされていない砂利道。
そして民間と民間の間は隣の家が見えない位離れていた。
回覧板持ってくの大変だな‥‥
タクシーの窓から外をぼんやり眺めながら、かなりどうでもいい事を考えていた。
とにかく、目に映るのはどこまでも広がる緑ばかりだった。
‥‥そして、目的地に着いたタクシーには予想外な額の運賃を払い、
車から降りて見上げたその先には、明治時代を彷彿とさせる赤レンガ造りの家があった。
家と言うよりも“館”のようにも見える。
こんな立派な家‥‥
余計に父親が持っている理由が分からなくなり、俺はひとまず門に手をかけた。
家まで続く道や庭は綺麗に手入れされていて、とても無人の家とは思えない。
浮気や予想外にデカイ家、など謎が多いにせよ
父親が維持し、誰かが住んでいる事は間違いなさそうだ。
つまり誰かとは話をし、下手すれば意見が合わず問題が発生する事にもなり得る…という事。
俺は聞こえる位大きなため息を吐いて、チャイムを鳴らした。
‥‥返事は、ない。
まぁここまでは想定内。
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