謎の館

3/13
前へ
/61ページ
次へ
村はやはり貧村だった。 タクシーが突き進む、先の見えない位どこまでも続く一本の道から 緑の間に垣間見える民間までの間は舗装のされていない砂利道。 そして民間と民間の間は隣の家が見えない位離れていた。 回覧板持ってくの大変だな‥‥ タクシーの窓から外をぼんやり眺めながら、かなりどうでもいい事を考えていた。 とにかく、目に映るのはどこまでも広がる緑ばかりだった。 ‥‥そして、目的地に着いたタクシーには予想外な額の運賃を払い、 車から降りて見上げたその先には、明治時代を彷彿とさせる赤レンガ造りの家があった。 家と言うよりも“館”のようにも見える。 こんな立派な家‥‥ 余計に父親が持っている理由が分からなくなり、俺はひとまず門に手をかけた。 家まで続く道や庭は綺麗に手入れされていて、とても無人の家とは思えない。 浮気や予想外にデカイ家、など謎が多いにせよ 父親が維持し、誰かが住んでいる事は間違いなさそうだ。 つまり誰かとは話をし、下手すれば意見が合わず問題が発生する事にもなり得る…という事。 俺は聞こえる位大きなため息を吐いて、チャイムを鳴らした。 ‥‥返事は、ない。 まぁここまでは想定内。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加