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「ちょっ‥‥待てって!
事故だ、交通事故!一週間位前だよ‥‥」
「事故!?
‥‥事故‥‥そう‥‥」
彼女は弱々しく俺のシャツにかけていた手を降ろすと、ポロポロと泣き出してしまった。
しまった‥‥
俺は、女に泣かれるとどうしていいのか分からない‥‥
俺は困惑した末にハンカチを差し出した。
「‥‥ありがどう‥‥グズッ」
鼻声でハンカチを手にした彼女は、俺の気持ちを理解したのか、目頭を押さえて泣き止もうとしていた。
「あの‥‥」
「ん?」
「‥‥麗子‥‥さんは?」
え‥‥この人‥‥
なんで母さんの事まで‥‥?
「‥‥死んだよ。親父と一緒に」
「‥‥そう‥‥ですか‥‥」
泣き止むのを待っている間、まじまじと彼女を観察して分かった事。
‥‥‥‥若い。
どちらかと言うと、俺と同じ位に見える。
もしこの彼女が親父の不倫相手なら相当なロリコンだ。
そんな不謹慎な事を考えていたら、彼女は最後の涙を拭って顔を上げた。
しかしまだ瞳は潤んでおり‥‥
その子犬みたいに弱々しい視線に、思わず顔が赤くなるのが自分でも分かった。
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