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「‥‥えっと‥‥
もし、話してくれるなら‥‥
アンタと親父の関係を聞いてみたいんだけど」
「‥‥分かりました。お話します。
その代わりこんな玄関先ではなく、居間でお話しませんか?」
そう言った彼女は、さっきまでの弱々しさはなく
凛とした気高さを纏っていた。
そう、一目見た時から分かっていたが、彼女はかなりの美人なのだ。
「‥‥俺は、どちらでも」
内心動揺しまくってるのを隠す為にぶっきらぼうに告げた俺の足元に、彼女はスリッパを用意してくれた。
そうして俺は屋敷の中に足を踏み入れた。
居間へ向かう長い廊下には
絵画や剥製、そして映画の中でしか見ないような鎧‥‥
本当に父親が所有しているのか?と疑ってしまう。
確かに父親は社長だ。
しかし家は一戸建てではなくマンション。
母親の実家はこの家のように半端なくデカイ洋館だが、
この洋館は父親が個人で所有しているので、益々理由が分からなくなっていく。
「どうぞ、お入り下さい」
彼女がニコリと笑って扉を開けて待っているのに気付き、俺は考えるのを止めた。
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