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――街への山道
「ユキ…何だかあったかい…包み込まれてる感じが気持ちいいよ…あぁぁぁぁ…」
「ちょっ…ちょっと!!変な声出さないでよ!!」
村から少し離れた道の途中に歩を止める3人の影があった
その一人、ユキの手からは白く淡い光が発せられレンの顔を包んでいる
「いやぁ~マジでコレすげぇ…痛みがなくなってく…なんつうか…パァァァァァ…って感じ?」
「ふふ…すごいでしょ!これが回復魔法レベル1…治癒力を飛躍的に高める魔法よ」
そう話している間にもレンの痛々しい顔面の赤みが目に見えてひいていく
(こりゃホントすげぇわ…ん…っ!?…これってまさか…)
「そんな奴の顔などほっとけ!どうせならワシの腰痛を!!」
歩を止める事にわずか3分ほどで痺れを切らしたじじぃがレンの思考を断ち切る
「腰痛こそどうでもいいわっ!オレの顔にどれだけの価値があると思ってやがる!!」
「10円くらいじゃな」
「じゅ…10円だとっ!?じじぃ…長生きしたいなら発言には気をつけろっ!」
「はて?3円くらいかの?」
怒るレンにじじぃはわざとらしく惚けた表情を見せ挑発する
「うぉぉ!黙れクソじじぃ!二度と腰の曲らない体にしてやろうか」
「ならワシは二度と見れない残念な顔にしてやろうかの~」
今にも噛み付き合いそうな二人の間にユキが制するように割り込んで両手をヒラヒラさせながら声をあげた
「もうやめてよ二人とも!はいっ!治療終了~街に急ぐよ!おじいちゃんにはまた後で回復魔法かけてあげるから!!」
「ふむ仕方ないの~レンの血祭りはまた今度にするかの」
「ちっ…言ってろクソじじぃ!!」
レンは消化不良気味に怒りを抑えユキに目をやる
(成長してんのは膨んだ胸だけじゃないんだな…盾魔法に回復魔法かよ…)
「どうしたの顔に何かついてる?」
いつのまにかユキと目と目があっていたレンはじっと見つめれた視線から思わず目を逸した
「い…いや何でもねえよ…しっかし“ウァル街”は遠いな」
「仕方なかろう“始まりの村”は山頂なんじゃからウァル街に行くには山を降りるこの道の他にないんじゃ…ほれそろそろいくぞ」
「そうだね…まだ街まで3分の1も来てないし急ごうレンくん」
ユキとじじぃはスタスタと歩き始めた
「ぐ…うぅ…そう言われても結構すでに足が棒なんですけど…」
仕方なくレンもトボトボと歩きだしたのだった
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