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そして彼女は高らかに高らかに、赤門へ向けて言葉を放った。
「さぁ、そろそろ始めましょうか!最強の軍事要塞?八大竜王の総本山?知ったことじゃないわ!!」
ズン…ッ!! と。
紗音が静かな一歩を踏み出す度に、アスファルトの道路は歪み、地鳴りの音と揺れを鳴らす。
それでも彼女は歩みを止めず、圧倒的威圧を纏い叫んだ。
「さぁ掛かってきなさい東京大学!! この私に進化を、そして未来を与えてみせなさい!!」
軽く振り上げた足を、紗音は地面にたたき付ける。
たったそれだけの動きで、地面は轟音と共に波打ち、鉄壁の赤門は基礎から爆砕した。
一撃で周囲の地域ごと破壊せしめたその姿は、まさに悪鬼。
紗音は、ふと、礼太に振り向く。
「あなたにとっての、『進化』とは何?」
「―……未知の追求だ」
記者としての腕を上げていくこと。誰も撮ったことのない映像を伝えていくこと。
「全てを経験するなんてお前のような荒業はできない。が、未知を既知にし、伝えることが、俺の進化だ」
「そう……良いじゃない。これであなたも、謀叛人よ」
「関係ないね。俺も、人間だ。求めるものには、従うさ」
赤門の奥から迫る軍人たちに視線を戻し、紗音は礼太の言葉に満足そうに頷いた。
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