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それから2人はタケルが予約した店でノゾミの誕生日を祝った。
初めは先程の話を少し引きずっていたノゾミだったが、盛り上げようとするタケルのおかげで笑顔が増えていった。
そして2人は夜景がきれいなホテルへと場所を移す。
タケルのたくさんの愛情を受け、ノゾミは幸せな時間を過ごせていた。
そして、そんな時間をくれたタケルに対し、感謝の気持ちでいっぱいだった。
「ねぇ………」
「ん?」
ベッドの中で寄り添いながらノゾミが問いかけた。
「もし……私があのウィルスに感染したら……どうする?」
ノゾミの質問に少し返答をためらうタケル。
「気にすんなって。あんなもん、感染するのはほんの一握りだろ?インフルエンザにもかからねぇお前が、かかるわけねぇって」
「何よ~、そんなのわかんないじゃない」
タケルの言葉に笑いながらすねるノゾミ。
このはぐらかしも、タケルの優しさなのだと思っていた。
しかし、今は違う。
そういう優しさではなく、タケルの想いを確認したかったのだ。
気遣ってくれる優しさではなく、自分に対する愛情の深さを。
「もちろん、かかるわけないけどね。もしだよ?もし。……もしも私が、あんな病気になっちゃったとしたら……タケルは、それでもそばにいてくれる?」
鼻と鼻がつきそうなほどの至近距離。
真っ直ぐに見つめてくるノゾミの瞳に、タケルは観念したようにつぶやいた。
「ああ、ずっとそばにいるよ」
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