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ノゾミの誕生日から3ヶ月後。
ノゾミは珍しく風邪をひいてしまった。
微熱が続き、体のだるさはあったものの、症状は比較的軽い。
お見舞いに駆けつけたタケルの看病もあってか、ノゾミの風邪は快方へと向かっていた。
「鬼のかくらんってやつかな?」
「それ、ひどくない?」
タケルの冗談に笑いをこぼすノゾミ。
明日になれば、もうすっかり元気になりそうなくらいに回復していた。
「ま、元気になってきたみたいだし、俺そろそろバイト行ってくるわ」
「うん、ありがとう」
「へーきへーき。ちゃんとあったかくして寝てろよ?」
そう言いながら上着を羽織るタケル。
外を見ると、ちらほらと雪が降り始めていた。
「おー。外は寒そうだなぁ。雪降ってきたぞ」
目をしかめて外の景色を見るタケル。
降り出した雪は積もるようなものではなく、地面に落ちてすぐ消える粉雪のようだ。
「くっそー、マフラー持ってきておけばよかったなぁ。ノゾミ、悪いけどマフラー貸してくんね?」
「…………」
タケルの問いかけに、ノゾミは答えない。
「ノゾミ?悪いけどマフラー………」
そう言いながら振り返ったタケルは、一緒自分の目を疑った。
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