本当の鬼

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「ひ!ひいぃ!!」 恐怖におののき、後ずさるタケル。 腰は完全に抜け、部屋にるものを倒しながらノゾミから離れようとしている。 「タ……タケ……ル……」 肺が潰れてしまったように息苦しい。 消え入るような声で、ノゾミは助けを求めた。 まさか、本当に感染するなんて……… 不安はあった。 しかし、心のどこかで『自分は大丈夫だ』と思っていた。 確率の低い『まさか』が、自分の身に起こるわけがないと。 それが甘かったのか。 今、現にこうして苦しんでいる。 口の中が焼けるように痛い。 寒いのか熱いのかわからない。 自分の意思とは無関係に引きつる体。 痛い。 苦しい。 怖い。 助けて……!! 思うように動かない体を無理やり引き上げ、ノゾミは手を伸ばしてタケルに助けを求めた。 「タ……タケ………」 「く、来るなぁ!!バケモノ!!」 ――――!!
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