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――さん
なに、アリス?
私、泣きそうなの
どうして?
だってね…?私、分かってしまったから…
夢を、みていた気がする。
私――横川愛梨鈴<ヨコガワアリス>はベッドの中でもぞもぞと寝返りをうった。まだ眠い……。
でも、学校に行かない訳にはいかない。ゆっくりとベッドから出て……呆然とした。
私の寝ていたその部屋が、見知らぬ部屋だったから。
私の家のシンプルなモノクロ部屋ではなく、白でピンクでフリルなゴスロリ部屋だったのだ。ベッドも天蓋付きのなんとも豪華なもので、私はかなり混乱した。
「ま…待って。愛梨鈴、あなた昨日何してたの?」
混乱しすぎて自分に話し掛けてしまった。
昨日は普通に学校に行って普通に部活して普通に帰って自分の部屋で寝た。うん、間違いない。
「わ…私、寝てる間にさらわれたの?」
たぶん、それはない。
部屋を見回して、あるものが目についた。
黒を基調としたこれまたゴスロリのエプロンドレス。胸元には大きな赤いリボンがついていて、可愛いらしさを強調している。
ドレスにさり気なく付いてた紙には綺麗な筆記体で…
Dear Alice.
Present for you.
To ………
「ありす…?でも、cだから私じゃない……。差出人は…読めない」
「チェシャ、だよ」
「……!?」
背後から突然聞こえた声に、思わず体が跳ねた。
振り返ると、そこには先程までいなかったはずの男が立っていた。
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