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――――そんなわけがないだろう。もしも犬がしゃべったなんてことがあったらこの村ですぐに広まる。
ジンジャーは、声に出さないながらもそんなことを考えていた。
「……ねぇ、ジンジャー。なんだかむかつくことを考えていない」
リンが効いてくる。彼は、ドキッとしながらも
「そんなことはないよ。気のせいじゃないか」
とかえした。ジンジャーは彼女の野生の感におののきつつも平静を装って答える。
「……ふーん」
リンは、不審に思いつつもそう返した。
「とりあえず、犬が立ち止まったのはいいのか」
「うーん。どうしたんだろうね」
彼女はしゃがみ込んでユーちゃんの頭をなでる。彼は気持ちよさそうに頭をよせる。
「やっぱり無理なんじゃないか」
「そうかな」
「犯人まで突き当たれる犬は訓練したやつじゃないと無理なんだよ」
「でもさ、もしかしたら奇跡の犬か先祖がえりがいるかもしれないじゃない」
「いないって。訓練したからこそできることだし、先祖かえりってなんだよ」
「先祖かえりは先祖かえりよ。犬は猟犬として人間と一緒に狩りをしていたわけだし」
「しかし、こいつの先祖は猟犬じゃないはずだぞ」
「生き物にはみんな狩り本能があるのよ」
「草を食べる生き物もいるぞ」
「ジンジャー!上げ足を取らないで」
「はいはい」
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