第一章

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会話をしながらも、頭をなでる手は止まらない。犬は、飽きたのかあくびをしている。 「もうだめだろ」 「そうだね」 ついにはリンまで認めてしまった。 仕方がないので、次の作戦を考えることにして犬は飼い主のもとへ。 「さてと、次はどうしようかしら」 「あの」 頭の高さまで手を挙げるジンジャーに 「はい、ジンジャー。どうしたの」 「いいかげん畑仕事に戻りたいんだけど゚……」 「……私をこんな風にしたのは誰だったかしら」 彼の発言に、遠い眼をして脅すリンに 「……わかりました。俺がわるかったです。犯人を探しましょう」 降参するしかなかった。彼の答えに満足したのかリンは満面の笑みを浮かべ 「さー、行くわよ。ジンジャー」 「はいはい。で、どうする」 「……犯人は何のためにこの薬を送ったのかしら」 「お。真面目な話になってきたな。そりゃあいたずらするつもりで、だろ」 「いたずら目的ならば、自分の計画が成功したかどうかを見に来るはずじゃない」 ――――お、まともな意見。 「確かに、そうだよな」 「だったら、ジンジャーの家に行きましょう。もしかしたらどこかの陰で家の様子をうかがっているかもしれないわ」 「それはいいな。仕事もできるし。リンの用事もできる。お前や
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