第一章

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船を船着き場に止めて駈け出した。  最初の家へ。  まずついたのはゲイルさんの家。白い髪で年のころならば70歳のまだまだ元気なお爺さんが庭の花に水をやっていた。  「ゲイルさん!おはようございます」  「おお、リンちゃん。おはよう。相変わらず元気だね」  「元気だけが取り柄ですから!はい。お手紙です!リロンドに住む、お孫さんからですよ」  手紙を渡すと「おおっ」と声をあげてにこにことほほ笑む。  その笑顔に、うれしくなってリンもほほ笑む。  「それじゃあ、私他の手紙も届けてきます」        「おお、がんばれよ」  ゲイルさんが手を振った。  次に届ける先は、リョウおばさん。商品道理で魚屋さんを夫婦で営んでいる仲良し夫婦。  茶色に近い金色でいろいろ豪快なおばさんだ。  「リョウおばさーん」  手を振りながら走って近づく。さすが魚屋、朝は早い。  「あら、リンちゃん」  「おはようございます!」  「おはよう。リンちゃん元気だね」  「おばさんも」 「あたしはいつもどうりだよ」  「あはは、今日は何がおすすめですか」 「いいアプリーがとれたからそれの煮つけがお勧めだよ」  「そうですか。あとで買いに来ますね。はい、今日の宅配物です」  「はいはい。あら、おばあちゃんたら又通販をしたのかい。おばーちゃーん」 おばさんが呼ぶ。 ――レウおばあさん。今度はなにを注文したんだろ。また喧嘩が
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