第一章

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「・・・後悔なんてしてない癖に」 ジンジャーの言葉にぼそりと呟き一口紅茶を飲む。  こんなことを言いつつも、彼はところどころ土で汚れた服を着たジンジャーは、実家の農場を手伝っていることに後悔はないという誇りがあふれていることをリンは知っていた。  しばらく、二人黙って紅茶を飲んでいたが思い出したように  「そうだ、手紙」  と席を立ってガサゴソと仕分けを始めた。  「私、帰ろうか」  「いや。もう少しのんびりしてろよ」  「お邪魔じゃない」 「大丈夫だ。・・・・ん?」  ジンジャーの動きがとまる。  「どうしたの」  リンも席を立って、彼に近づき覗き込む。  彼は包みをもって首をひねっていた。  「いや・・・・ローラ・ミリェセントなんて名前聞いたことないから。お前知ってるか」 シンジャーに聞かれてリンも考えてみる。  しかし考えてもローラ・ミリェセントというな名前の知り合いはいなかった。  「ごめん・・・・わからない。もしかして大陸に野菜を卸しに行ったときにシンジャーに一目ぼれしちゃった人じゃないの」  「そうかな」 「きっと、そうよ」  などと会話をしながらも箱を開けるジンジャーは突如  「あっ」  などと声をあげた。  不思議に思い、彼のほうを向き中身を覗き込む。
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