君の、笑顔。

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 「…ねぇ? ヨウ」  僕がリビングのソファーに座って新聞を読んでいたら、隣に座ってきたセイが甘えるように頬をすり寄せてきた。  「…どうしたの、急に」  突然の出来事に僕は少し戸惑った。セイのせいで、新聞がまともに読めなくなってしまった。  「ねぇ、ヨウはバレンタインって知ってる?」  「知ってるよ。それがどうしたの」  「ううん。バレンタインってね、好きな人にプレゼントをする日なんだって。だからさ、ぼくたちもやろうよ。2人でさ」  「別にいいけど……」  何を言い出すと思ったら、今世間で騒いでいるあれか。1年前まではバレンタインのばの字も知らなかったくせに、セイも少しずつ大きくなっている。  「やったぁ!! じゃあ、おたがいにないしょでプレゼントをじゅんびして、その日になったらわたそう?」  「……分かったよ…」  僕はあまり乗り気ではなかったけれど、セイが目を輝かせて言うものだから、断るなんてできなかった。「ありがとう!!」と叫びながら抱きつかれたら、もう自分の意思などどこかへ飛んで言ってしまう。ことごとく、僕はセイに甘い。  「ぼく、さいこうのプレゼントをよういするからね!!」  キラキラした笑顔でそんなことを言わないでくれ…反則だよ…。
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