君の、笑顔。

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 「ごめん、ヨウ……」  セイはチョコレートを手に持って、俯きながら言った。  「ぼく、プレゼント用意できなかった……」  僕は頭の中で、静かに怒りが爆発するのが分かった。だって、言い出したのはセイだ。だから、セイは必ず約束したことは守らなくてはならない。それに、僕が夜な夜な眠いのを我慢してプレゼントを用意したというのに、セイは呑気に寝ていて、しかもプレゼントを持ってきていないだなんて……僕は自分が惨めに思えてきて仕方なかった。  「僕、約束を守らない人は大嫌いだな」  怒りが自分の中で収まらなくて、自然と口がそう言っていた。ここは少し、お仕置きをしなくてはいけないと感じた。  「セイ、約束を破った人は、誰からも嫌われるんだよ? 僕も、嫌いになっちゃうよ」  「ごめん、ホントにごめんっ……」  「今回ばかりは許さないよ。僕毎晩それを作るのにどれだけ苦労したか分かる? もういいよ」  セイとは一生口聞かないと言い捨てると、セイは涙目になって駆け出して部屋から出て行ってしまった。どどどど……と階段を上がる音がしたから、僕らの部屋に行ったのだろう。僕は腰に手を当てて、鼻息を荒くしながらその後姿を見送った。  僕はため息をつきたくなった。この2日間の努力が無駄だったなんて……。
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