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自室のドアをそっと開けると、セイは部屋の片隅で体育座りをしてさめざめと泣いていた。僕が近づいても、まったく顔を上げる気配はない。
「セイ……」
「ごめんっ……ホントにごめんなさいっ……!!」
くぐもり声で、セイは叫んだ。本気で反省しているのが分かる。僕はそれが愛しくなって、セイの体を抱き締めた。
「……ヨウ?」
耳のすぐ近くで、セイが困惑しているのが雰囲気で分かった。そりゃそうだろう。つい先ほどまでは怒りまくっていたのに、優しく抱き締めているのだから。
「もう、許してるよ」
弟を諭すように声を掛ける。片手に持っていた花束は地面に置いて、なお抱き締める力を強めた。
「セイ…プレゼントありがとう……」
「だ、めだよ……それは…わたせないっ…!!」
セイは、僕の胸の中でしゃくりあげながら言った。何で、と聞き返すと、僕の胸の辺りがぶわーと涙で濡れていくのが感じられた。
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