92人が本棚に入れています
本棚に追加
「だって…それ、くちゃくちゃだもん……ヨウ、そんなのもらっても怒るよね?」
セイの体がカタカタと震えている。僕はその背中をきわめて優しくさすった。
「…怒らないよ。だって、嬉しいもん。どうして、渡してくれなかったの?」
「だって……ぼく、ヨウにてきとうなものはあげられないよ……あんなにヒドくなったは花たばなんて…」
「その花束、何があったの?」
僕が問うと、セイは一瞬言葉を詰まらせた。そしてまた大泣きし始めた。
「今日のあさね……ぼく、お花やさんにかいに、行ったの。その帰りに、近所の拓くんと浩二くんが……ぼくの、こと、きもち悪いって……花たばもっ、て女の子みたいだって……とり上げられて、ぐじゃぐじゃにされ、たの……」
近所の拓君と浩二君とは、いわゆるガキ大将だ。同じ幼稚園に通っていて、いつもセイはいじめられている。そんなやつに、僕たちの大事な時間を邪魔されては、たまらない。ふつふつと怒りがこみ上げてきた。
最初のコメントを投稿しよう!