流れ星

2/6
前へ
/19ページ
次へ
 「セイ、今日の夜は起きてなくちゃダメだよ」  双子なのに弟よりずいぶん大人びている兄の耀は、新聞を開いて言った。  「何で?」  まだまだ幼い弟の聖は兄に近づき、後ろから新聞を覗き込む。  「ほら、ここ」  耀は下の方の記事を指差す。  「……ししざ……りゅう…?」  「獅子座流星群。今日の夜中がいちばんすごいんだって。絶対見ようよ」  「うん!! 流れ星見てみたい!! どんな感じなのかなあっ……」  「それは見てのお楽しみだよ。そうだ、セイ、流れ星が流れている間に願い事を心の中で3回となえると叶うらしいよ」  「ねがいごと?」  「うん。ちゃんと3回となえるんだよ」  「わかった!! 楽しみだね!」  聖は満面の笑みで兄の背中に抱きついた。聖はどんな時でも兄と一緒にいられればいいのだ。生まれた時から傍らにいた、頼もしい兄と。  耀の首が締まらない程度にぎゅっと力を入れて腕を絡ませ、頬をすり寄せていた聖は、兄から送られてくる体温に瞼が重くなっていた。  「…セイ、眠いの…?」  耀の声さえもどこか遠くに聞こえる。聖は条件反射で首を縦に振った。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加