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「…しょうがないなぁ…いいよ、セイは寝ててもいいよ。僕が起こしてあげるから」
「うん……」
「ほら、ちゃんと立って? ベッドで寝なよ」
「……ヨウがいてくれないとやだ」
「しょうがないやつだなあ…セイは。……いいよ、一緒に寝てあげる」
「ありがと…」
聖は半分眠りに入っていて、脱力した体は重かった。耀は半強制的に歩かせ、やっとのことで聖を自室の二段ベッドの下段に寝かせた。
(ふう……いつまでたっても甘えん坊なんだから…)
自分の弟を見て彼は一息ついた。生まれた日は1日として変わらないのに、どうしてここまで違うのだろう。
「……ヨウ…」
「何?」
聖はとろんとした目で兄を見つめ、ものをねだるように愛しい兄に向かって両手を突き出した。
「セイ…」
何がしたいか分かる。さすが10年間一緒にいるだけあって、言葉にしなくてもおおよその見当は付く。
耀は聖の隣に潜り込み、聖の求めるがままにキスを与えてやった。何度も角度を変え、お互いの舌を絡ませ合って――。
彼らにとっては、キスが挨拶の代わりになっていた。おはようの時もおやすみの時も、キスをする。そうやってお互いの存在を確かめ合う。 最初は表面だけだったが、いつの間にか舌を入れるようになっていた。
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