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「いったー…セイ、石頭なんだから」
「ごめんごめん…」
聖は兄の額を手探りで探し当て、手を当ててみた。少しだけ熱かった。よほど思い切りぶつけてしまったのだろう。聖自身の頭はそれほど痛くなかったが、昔から石頭と言われ続けていた頭だから、ぶつけられた方は痛かったのかもしれない。
「ごめんね…」
聖は耀の頬を両手ではさみ、自分の方に引き寄せて額にキスを落とした。それで痛みが引くわけではないが、昔に耀から同じことをしてもらって、気持ち良かった覚えがあるからだ。
「セイ…」
聖にいじらしく触れられて我慢ができなくなったのか、耀は自ら弟の濡れた唇にキスをした。
喰うようなキスをした後、唇を離して耀はにっこりと笑った。
「これは、よく起きましたのご褒美だよ、セイ」
耀は弟の頭をガシガシと撫でてベッドから降りた。
2人はベランダに出て、並んで手すりに寄りかかった。しばらくの間は無言で光のシャワーを浴びていた。時々物体がヒュウーっと落下する音や、バアンッと物体がぶつかって砕け散るような音がして、とても迫力があり、聖はおおはしゃぎした。
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