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とは言ったものの、知り合いという知り合いは翔ぐらいしかいない佳にとっては地味に骨が折れるような事になるだろう。
が、佳は笑って、
「よし、集めます!」
と、言った。
「じゃぁ、集まったら私に言ってね、生徒会の方に掛け合ってあげるから」
優しい笑みを浮かべて彼女は言った。
そんな話が終わり、二人は深々と頭を下げ、職員室を後にする。
「ありがとうございましたー」
綾は手を軽く振って彼等を見送り、普通の表情に戻る。
しかし、その目は何処か真剣で、彼等がでていった扉をしばらく見つめていた。
少し顔を緩めて、
「嵐田せんせーはいませんかー?」
――彼女は我に帰って少々戸惑い気味に声をかけられた少女の方を見た。
少し濃いめのふわふわとしたさらさら髪を再度にまとめ上げた非常にかわいらしい身長をした女の子。
手にはドラムスティックのケース。
そして背中にはスネアの入った真っ白なスネアケース。
要するに、いかにもドラムやってますと言わんばかりの装備をしているところ、多分、彼等と同じ目的でここに訪れたようなのか。
――案外、簡単に部員が集まりそうね。
、と彼女は少し楽しみに思う。
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