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はっきりとした確信は持てない。
だが、吹奏楽はまだないこの学校の事を考えてみれば、彼女は自分達と同じ、またはそっちか。
いずれにしろ、話しかけてみないと話が進まない。
取り合えず、彼女がどのような自己紹介をするのか、まずそれを確かめる必要がある。と、翔は色々な思考をぐるぐると回す。
別に成績が悪いだけで翔は理論的な考えに関しては佳と同じ、否、それ以上に賢い。
周りの環境のおかげなのか、それとも、ただ性格の問題なのかは本人いわく、よくわかっていない。
翔は、この辛気臭い空間の中で一人頬杖立てて彼女を顔を動かさずに見る。
スネア、スティック。
冷静に考えれば、スネアを常時する吹奏楽の子なんて、見たことがない。
なぜなら、吹奏楽の打楽器はスネアだけ叩く、という事などあまりないからだ。本来、打楽器というパートは正式にパーカッションと呼ばれ、色々な種類の打楽器をあらかた扱う事が出来て改めてパーカッションと呼ばれるのだ。
ということは、やはり彼女はバンドのメンバー、いや、軽音楽部の部員を探すためにスネアを持ってきたのではないだろうか、と、翔は深く念入りに考える。
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