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――Ⅰ
4月8日午前9時半――
今日は青空が綺麗で清々しい天気の中、桜がチラチラと落ちる校門。
その入口には、『豊栄高等学校入学式』と手書きで書されている大きな白い看板。
そう、今日本日、新入生を迎えるこの高校の入学式。
紅色のブレザーにグレーのスラックスとスカート、そしてこの学校のシンボルとなるツバキのマークがかかれたチェックのネクタイ。
その真新しい制服を着て、皆騒がしく校門を過ぎて行く。
そんな中、磯部翔はぼんやりとしながら大きなあくびをし、体育館へと足を運ぶ。
実施、この高校に入れるとは翔は微塵も思っていなかった。
偏差値59というこの学校に平均偏差値48の俺がまさか普通に合格するとは……と、優越感に少し浸る。
仕方ないのだ、本当にアホだから。
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