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そもそもこの高校は建設されてあまり年を過ぎていないのもあるのか施設は多い、教師も凄い、そして無駄に広いの三拍子。
矢印の方へと歩いていくのだが、体育館らしきものは見えず辺りは綺麗に整えられた芝生の道。
その中に綺麗な通行用のレンガの道が真っ直ぐに埋め込まれている。
そんな道を周りの生徒に紛れ込みながら進むが、何故か先程から視線が翔の方に皆向いている。
珍しげな目で見られているのがわかる。
翔は首を傾げながら頬をかく。
この視線は初日から第一ボタンを開けているからなのか、それとも――
――背中越しにエレキベースを担いでいるからなのか。
正直今の時代、楽器、いや、バンドをする人達は数が知れている。
今時している人はあまりいない。珍しいのだろう。
THE BEATLESが流行った頃と比べれば数は減った。
だが、正直そんなものだろうと翔は思う。しかし。
憧れと目標は違わないようで違う。
憧れているだけならば楽器を見境なく買った時点で三日坊主で終わるだろう。
そういう人達が増えてしまったのだ。
こんな風になりたい彼等は憧れであり目標である、って思って楽器を買ったなら、いずれ彼等を越えることができる。
音楽には上がない、
と言っても過言ではないだろう。
だから皆プロは競争を繰り返す。
いずれ弟子は師匠を越える、またその弟子がその弟子に越えられる。
こうして今の音楽は長い年をかけて世界の文化的存在となったのだ。
その文化もこうして伝えられてきたが、
ただ、その師匠もおらず、全て一人でこなせる者を俺はこう言う、『天才』と。
―――Opening――『入学式』―――――
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