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《朝倉視点》
寒さに身が縮まるような身震いをしながら街の中を歩いていた。
人が行き交う中、寒さなんてへでもないと言わんばかりのカップルが大勢いた。
その光景は独りの俺としては見せ付けられてるようにしか思えなかった。
「(んなに寒いなんて本当に地球は温暖化なのか?)」
見せ付けられているわけではないのにそう見えてしまう光景に苛立(いらだ)ちながら温暖化を否定するという小さな八つ当たりをしていた。
いつの間にこんなにも小さな男に成り下がってしまったのか。
「お、朝倉やん」
「あ?…杉崎」
「なんや、買いもんか?」
「おまえは?」
「デートやねん」
「あそ、」
「うわ。感心なしかいな」
杉崎の彼女なんか興味なかった。
それは杉崎がただの友達、部活仲間だから。
しかし、その彼女の相手が――
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