第二十一章

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エビラから遂に轟天号が離れた。急速に後退する轟天号に対して、エビラがその大きな右ハサミを振り上げていた。 -まずい…!! ゴードンはその光景を前にして、沈没をどこかで決意していた。 「今だ、魚雷発射!!」 ネモの計算しつくされた場所から放たれた魚雷は、轟天号に集中していたエビラに気付かれぬまま、轟天号に開けた穴の中に吸い込まれた。 「もう一発だ!」 更にもう一発、魚雷がそれに続いて同じように穴に吸い込まれる。直後、エビラは体内部で大爆発を起こしてそのまま水中に倒れ込んだ。 「よくぞ対応してくれた。諸君のおかげだ。ありがとう」 ネモは船長としてクルーに礼を言った。 「見事な腕前だったな。轟天号もおかげさまで沈没を免れた」 「轟天号が奴の体内に大きな穴を開けてくれたおかげだ。助力に感謝する」 二人の優秀な船長を前に、エビラは遂に敗れ去ったのである。 「浮上しよう。俺とネモで陸上戦に戻る。オザキ、お前はフラスコの中の小人とやらの攻撃に轟天号の全兵器を持って立ち向かってくれ」
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