第二十一章

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「みんな無事か!!」 轟天号の冷凍メーサー砲がフラスコの中の小人を僅かながら吹き飛ばした。 「遅くなって済まん。加勢するぞ、兼平殿、メランド殿!!」 ノーチラス号から降りたネモとノーチラス号のクルー達は皆、武器を携えて兼平、メランド連合軍の援護に向かっていた。 「ネモ殿、おかげさまで海からの援軍を相手にせずに済んだ、ありがとう」 メランドの言葉に力は感じられなかった。傷の状況が意識にまで影響を与えてしまっているようである。 「メランド殿…」 「兼平殿がこの状況に気づかない筈はない。メランド殿は戦うことを選んだのだな?」 ネモの問いに兼平は無言で頷いた。 「ならばザムシャー殿に頼んで…」 「いや、彼の相手にしているフラスコの中の小人という敵は強大過ぎる。ザムシャー殿がこのタイミングで抜ける事は防がねばならない。ましてや、怪我人の治療などもっての外だ!!」 メランドの言っている事は確かに正論であった。二人も黙って彼の意見を尊重する他になかったのである。
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