第二十一章

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「闇斬丸、お主の名の由来を示す時だ…」 ザムシャーはフラスコの中の小人に向かって眩く輝く純白の切っ先を突き出した。 「無駄な事を…」 フラスコの中の小人には、この攻撃が無意味な突撃攻撃にしか見えなかったようである。 「何…!?」 闇斬丸の切っ先はフラスコの中の小人の腹部に突き刺さっている。その中から、どす黒い闇が断末魔の叫びをあげなから次々と現れ、人の顔を形作った白い霊体へと姿を変えて、天に昇りながら消滅していっていた。 「貴様の中にある賢者の石という禍々しい闇の根源を斬り、犠牲となった無実な人々を昇天させる。この闇斬丸だから出来る話だ。そして、一角!!」 「霊の成仏という点なら俺達死神の専門だ…」 龍紋鬼灯丸が闇斬丸の斬り口を狙って振り下ろされる。 「グッ…!!」 生まれた大きな傷口から、次々と人々の魂が昇っていく。その顔は穏やかであったり涙を流したりしている。 「俺にはこれくらいしか出来ないんだ。済まねえ」 一角はそのまま無心に龍紋鬼灯丸を振り続けた。
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