第二十一章

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「くっ…」 手負いのメランド、傷から生じる激痛に顔を歪めて膝をついてしまう。 「死ね!!」 恐ろしい顔をしたゴブリンが、不格好な刃をメランドの心臓に突き出した。 「させん!!」 レックスが割って入り、ゴブリンの首を吹き飛ばした。 「メランド様、やはり先程の戦いで手傷を…」 「気付いていたのか…」 「はい、何年もメランド様と共に剣を持ち戦って来たのです。それくらいは分かります。メランド様がそれを隠して戦うお方だという事も…」 ー私を庇いながら彼らは戦っていたのか… メランドの胸には罪悪感に近い感情が湧き上がった。共に戦って来たレックス達王国軍には、彼が傷を隠して戦っている事も、そこに込めた思いも感じ取っていたのである。 「即席の本陣を作ってもらった。メランド殿はそこに座して待たれよ。我が国では一国の将は座して勝利を待つものだ。臣下の活躍を心から願って、彼らは国を、将の為に。立場は違えど思いは共にあるのだ」 「分かった。レックス、兼平殿、ネモ殿、後は頼む」 「任せておいてくれ」 ネモが頼もしく笑みを見せるとメランドに一礼した。兼平とレックスは既に長と合流して戦いに戻っている。
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