第二十一章

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ーこいつ、単に直接的に手を下すのが性に合わないというだけの理由で姿を見せなかったようだな…!! サルマンの杖捌きに加えて、次々と炸裂する攻撃魔法のコンビネーションはザムシャーをもってしても容易に防げるものではなかった。 「俺達を直接始末する程の実力を持っていながら、手を下さないとは物好きな奴だな!!」 攻撃魔法が粉々の火花になる。ザムシャーの星斬虎徹丸兼定が唸りをあげていた。 「魔法使いとは本来表立って戦う存在ではないのだ。人間、エルフ、ドワーフ…様々な種族のブレインとして陰ながら戦うのが我等の務め」 「なる程な。自軍を捨て駒にするのは気に入らないが、そこに己の流儀があるならば否定はすまい…」 「武士道という奴か…私も貴様の武士道に敬意を表して己の力のみで貴様を叩き潰してくれる!!」 サルマンの中には、若い頃に単純に力のぶつかり合いに明け暮れていた時の高鳴りと情熱が再び目覚めていた。 「それは、ありがたい…」 闇斬丸が杖と接触して光を散らした。
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