第二十一章

83/92
前へ
/527ページ
次へ
ーこれ程までに刀の戦いに特化した存在があるとはな…何事も極めれば他を凌駕する力を持つか。 サルマンは、自らの魔法をことごとく斬り捨てていく宇宙人を前にして思う。彼は予め、ヤプールによって彼の住む人間外の宇宙人が、様々な特殊能力を保有しているという説明は受けていた。 しかし、彼が戦っている宇宙人は違う。ただ、己の力と腕を頼りに剣を黙々と振るっているのである。 「大した杖捌きだな。貴様、相当戦いを経験しているのだろうな」 「ブレインでも時には頭よりも身体を使う事もあるものでな。昔はよく、わしも戦いに身を投じたものだ…」 本人も意図せずであろうが、サルマンは素の自分としてザムシャーと会話していた。ザムシャーはその事に気が付いて、一瞬表情を変えたがすぐに意識を集中し直した。 「兼平とか言ったか。貴様達が頼りにしている人間は」 「ああ…」 「それ程までに修羅なのか?貴様が一目置くほどに」 「フフフ…それは違う。むしろ逆だ」 星斬虎徹丸兼定の黒い斬撃の衝撃波が、その返答に油断したサルマンを吹き飛ばした。
/527ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加