第二十一章

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「貴様の言った通り、あいつは優しすぎるが、その優しさや真っ直ぐさが時に大きなる力を生み出す時がある」 「優しさは弱さにしかなりえんよ。優しさにつけ込まれて死に行く人間を数々見てきたからな…」 「俺も昔はそう思っていたがな」 起き上がったサルマンは杖の先を大きく振るう。巨大な赤色の火の玉が燃え上がり、ザムシャーに向かって飛んで来る。 「デカいな…!!」 ザムシャーは星斬虎徹丸兼定と闇斬丸で正面から斬りつけた。 「ほう、そのまま正面から受け止めるか!!」 更にサルマンは稲妻を追撃して放つ。火の玉に稲妻が合わさり、うねりをあげてザムシャーに襲いかかる。 ーこの辺りで本気を出して来るという事か…!! ザムシャーの刃が凄まじいエネルギーを前にカタカタと音を立てている。 「さて、次は闇の魔法だ…」 恐ろしい呪詛の言葉。やはり意味は理解出来ないが、おぞましく低い声と口調はその威力の凄まじさを裏付けている。
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