第二十一章

86/92
前へ
/527ページ
次へ
「次はこちらの番だな…」 ザムシャーの隻眼が燃えるように赤く光り輝く。全身の闇の黒さも相まって、その光はより鮮明に見える。 「………」 無言で警戒するサルマンにむかって、ザムシャーは星斬虎徹丸兼定を大きく振り下ろした。星斬虎徹丸兼定から溢れ出した膨大で強力な闇が幕のように吹き出し、サルマンに襲いかかる。 ーこの感覚は恐れ……なのか? それが近づく事により、サルマンの身体が無自覚にガタガタと震えている。その現象を、彼はまだ冷静に分析出来ていた。 「この闇すらも超越してくれる!!」 サルマンは、杖を大きく前に突き出してこれに立ち向かった。闇が杖に触れた瞬間、 「バキッ!!」 杖は大きな音をたてて真っ二つに折れてしまった。 「何…!?」 そのまま無抵抗になったサルマンを闇が包み込む。 「ぐあああ…」 その闇に包まれたサルマン、おぞましく叫び声をあげて地面をもんどり打ちながら苦しみ始めた。その姿を、星斬虎徹丸兼定を純白に変えたザムシャーが静かに見つめている。
/527ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加