第二十一章

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「いや、間違ってなどはいない」 ザムシャーの一言に、一同が思わず視線を集中させる。 「だが、やり方が間違っていたのだ。生み出した存在への憤りも、外に出る事の出来ない理不尽も分かる。だが、命を犠牲としてはならぬのだ。生み出した奴らと同じように命を弄んでどうする」 「……」 「それに先程までの姿…お主、本当は人間が好きで人間になりたかったのではないか?」 ザムシャーの言葉には慰めるような優しさがあった。人間ではない彼だからこそ、フラスコの中の小人を思いやる事が出来ているのかもしれない。 「そうだ、私は……」 過去の想いを思い出したフラスコの中の小人に、ザムシャーは闇斬丸の切っ先を静かに向ける。 「今は静かに眠れ。お主の罪、到底許されるものではない。だが、束の間の安息くらいは許されるだろう」 闇斬丸の光に包まれ、フラスコの中の小人は光の粒子になり消滅していった。 「何がトドメはヒーローに任せるだ。いいとこ取りするとはな」 ディケイドは毒づいて彼の言葉の矛盾を指摘しながらも、ザムシャーの肩を軽く叩いた。
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