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「皆は、国を攻めている魔物達と戦っているはずだ。まだコチラに来れる者は居ないと思うよ。
俺も4天皇とか言う、訳の分かんない魔族の4人組と戦って、6割程の力を使ってしまったし。
残りの力で魔王を倒せるとは想えない」
白色の整った髪型に、赤色の瞳の綺麗な目をした男性は、仲間に答える。
彼はこの中で、唯一のギルドZランクの持ち主。
此所まで来るのに、攻めて来た魔物、およそ3万の敵を滅ぼした後。
4天皇とか言う魔族達の幹部4体と、一斉に戦って倒して来たのだ。
「ほう! 貴様はあの4天皇を1人で倒して来たのか。通りで疲れが伺えると思っていた。
我でもあ奴等を一斉に相手にすれば、6割程の力を使うからナ」
魔王は、白髪の男性に感心した様子で口を開き、話し掛けてくる。
そんな中、白髪の男性は考え事をしていた。
(此所で、あの魔法を使うか。……下手したら無駄死にだな。
だが、今はそんな事を気にする暇は無い。あの禁術を発動させる)
白髪の男性は、剣の構えを解き佇みながらと、黄色い髪の女性に顔を向ける。
「クレア、ごめんな! お前と、もっと一緒に居たかったけど……これでサヨナラだ」
白髪の男性の言葉を聞くや、驚いた顔をする黄色い髪の女性‐クレア‐。
「どう言う事なの? クルド」
声が震えているのが分かる。
白髪の男性‐クルド‐は笑みを浮かべてクレアに答えた。
「魔王を野放しにしていては世界が終わる。俺は、自分の命を引き換えに魔王を止める。
クレア……ラスクの事を……俺達の息子を頼んだよ」
クルドはそこまで話すと、クレアの返事も聞かず、視線を魔王に戻す。
どうやら魔王は、話し合いが終わるのを待っていてくれた様だ。
「話し合いは終わったカ?」
「生憎と終わってはいないが……これ以上は待ってくれないだろう?」
クルドの言葉を聞き、魔王はククッと笑う。
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