嘘の始まり

2/2
前へ
/2ページ
次へ
2010.10.25 17:30 母が肝臓癌(ガン)で手術や抗がん剤投与不可と診断された 余命は『年を越すのは無理だろう』との事 後2ヶ月‥ 先生に診断をくらされた時.母と私と母と10年以上一緒に暮らしている内縁の夫と3人だったが 母はうつ病のせいなのか.耳が遠くなっておりお医者様の診断を聞き取れていなかったようでした とにかく今すぐ入院だと言われベットを用意するから待ち合い室で待つように言われた私達 私は診察室から出るフリをして母と内縁夫が出たのを確認した瞬間‥先生に泣きついた それは.よくドラマで観ていたような 『先生どうか助けて下さぃ』と言ったようなものではなかった 『先生.お母さんは耳が遠くて‥今の‥絶対聞こえてません。だから‥言わないで‥告知しないで‥』 『とにかく苦しまないようにしてください』 先生の腕を掴んで崩れ泣きながら.私は思ったようにお願いした. それは(救ってほしい)と言う言葉ではなかった 私は医療に関して全くの素人だけど.母のMRIレントゲンを見て.もう無理だと感じた 母の姿も上半身は骨や血管が浮き出る程ガリガリに痩せていて 下半身だけはお腹もパンパンで.足もむくみ(水がたまり)晴れ上がっている 先生は『分かりました』と何度もうなづいてくれた そして私は看護婦さんに立ち起こされ.涙をふいて深呼吸をした 目の前の扉を開けたら.もう二度とお母さんの前では泣けないんだと覚悟した そして扉を開けた 母は内縁夫に連れられ 少し離れた待ち合い室に座っている。 今までに見せた事のない不安な顔をして 私は平常心なフリをして近づいた。 そして 『お母さん。C型肝炎で足がむくんでるんだって。しばらく入院してむくみとったら楽になるらしいから頑張ろっか。 入院してゆっくりすればいいやん』 私は明るい口調で大きく話した。 私の嘘はここから始まった‥
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加