第三種接近遭遇

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 と、そんな時、相川がどこかから帰って来た。 「悠人、東條と何話してんの?」  言いながら、自分の席に座る。 「ん? まぁ、初めまして、ってことだ」 「ふーん……」 「相川は、中村さんのことを悠人と呼んでいるのか?」  少し興味ありげに、東條が聞く。 「ああ、もう昔からの付き合いだからね」 「なんかその言い方は気持ち悪い……」  男同士だしな……。 「そうか……。中村さんはなんと呼ばれたいんだ?」 「いや、別になんでもいいけど……。まぁ前の学校では悠人って呼ばれてたから、中村って呼ばれるのには若干抵抗あるかな……」 「そうか……」  少し考えた後、ぱっと顔をあげる。 「よし。では私もこれからは悠人さんと呼ぼう。悠人さんも私をしぐれちゃんと呼ぶがいい」 「いや、遠慮しとくよ…」  さすがににそれは嫌だ…。転校早々、変態のレッテルを張られたのではたまらない。 「そうか……?」  東條は少し残念そうにつぶやいた。 …まさか本気で呼んで欲しかったのか? 「え-っと……、しぐれちゃんは無理だけど、これからはしぐれって呼んでいいか?」  このまま見ているのも忍びなかったので、そうすることに。 「ふっふっふ……。男なんてちょろいちょろい……」  しぐれがニヤリと笑いながら、ボソッとつぶやく。 「っておい。聞こえてるからな」 「気のせい気のせい」  やっぱりこいつは変なやつだ、となんとなく思う。 「む。今失礼なことを思っただろう」 (なんでわかったんだ…?)  謎だ……。  そんな時、 「しぐれ、中村君と何話してるの?」  しぐれの友達だろうか。おっとりとした感じの女子が話しに入ってきた。 「まぁ、初めまして、ってことだな」  言って、ふふっと笑う。つられて、俺も思わず笑ってしまった。  しぐれとは反対の長い黒髪が印象的なその女子は、何がおかしいのかわからない、という顔をして、でもつられて笑っていた。
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