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と、そんな時、相川がどこかから帰って来た。
「悠人、東條と何話してんの?」
言いながら、自分の席に座る。
「ん? まぁ、初めまして、ってことだ」
「ふーん……」
「相川は、中村さんのことを悠人と呼んでいるのか?」
少し興味ありげに、東條が聞く。
「ああ、もう昔からの付き合いだからね」
「なんかその言い方は気持ち悪い……」
男同士だしな……。
「そうか……。中村さんはなんと呼ばれたいんだ?」
「いや、別になんでもいいけど……。まぁ前の学校では悠人って呼ばれてたから、中村って呼ばれるのには若干抵抗あるかな……」
「そうか……」
少し考えた後、ぱっと顔をあげる。
「よし。では私もこれからは悠人さんと呼ぼう。悠人さんも私をしぐれちゃんと呼ぶがいい」
「いや、遠慮しとくよ…」
さすがににそれは嫌だ…。転校早々、変態のレッテルを張られたのではたまらない。
「そうか……?」
東條は少し残念そうにつぶやいた。
…まさか本気で呼んで欲しかったのか?
「え-っと……、しぐれちゃんは無理だけど、これからはしぐれって呼んでいいか?」
このまま見ているのも忍びなかったので、そうすることに。
「ふっふっふ……。男なんてちょろいちょろい……」
しぐれがニヤリと笑いながら、ボソッとつぶやく。
「っておい。聞こえてるからな」
「気のせい気のせい」
やっぱりこいつは変なやつだ、となんとなく思う。
「む。今失礼なことを思っただろう」
(なんでわかったんだ…?)
謎だ……。
そんな時、
「しぐれ、中村君と何話してるの?」
しぐれの友達だろうか。おっとりとした感じの女子が話しに入ってきた。
「まぁ、初めまして、ってことだな」
言って、ふふっと笑う。つられて、俺も思わず笑ってしまった。
しぐれとは反対の長い黒髪が印象的なその女子は、何がおかしいのかわからない、という顔をして、でもつられて笑っていた。
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