第三種接近遭遇

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ザァァ…… 雨だ。雨が降っている。 辺り一面に広がる緑。暗くてよく見えないが、どうやらここは山のようだ。少し開けた崖のようなところに、私は座りこんでいた。 …胸が痛い。 何のせいかはわからない。もしかしたらわかりたくないのかもしれない、と、何とは無しに思った。 ふと、目の前に人が倒れていることに気付いた。よく見ると、腹から赤黒い血のようなものがでている。 どうして今まで気付かなかったんだろう、と不思議に思うが、それどころじゃない。 …助けないと。 何故か足がうまく動かなかったので、はいずるようにして、その人の元まで辿り着いた。 ……っ!  そこに倒れていた人の顔を見た時、どこか懐かしいような感じがした。 私は、この人を知っている。そう断言できる何かが、確かにあった。 でも、その人のことを思い出そうとすると、頭に鋭い痛みが走る。 頭の中に霧がかかったような、もどかしい感覚。 ………あれ? 体中の力が抜けて、そこから動けなくなる。 途端に、視界がぼやけていく。 意識が少しずつ無くなっていき、激しい痛みと吐き気が全身を襲う。 そして、世界が壊れていく…。 はっ、と目が覚めた。 動悸が激しい。呼吸を調えるために、深く深呼吸をする。全身が汗でぐっしょりと濡れていて、気持ち悪かった。 …また、あの夢か…。 こうやって目が覚めるのも、これでもう何度目だろうか。 何度、この辛く悲しい夢を繰り返せばいいのだろうか。 誰も答えてはくれない。当たり前といえば当たり前だけど。 …もう答えはわかっているのに。 繰り返すのだ。 何度も、何度でも、繰り返す。 また、同じ朝が始まる。
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