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「えーっと、そうだけど……」
あまりに突然だったので、思わず口ごもってしまう。
肩より少し短いくらいの髪の少女。
その少女をどこかで見たことがあるような気がしたのも理由の一つだけど…。
「そうか。では職員室の場所などわからないだろう」
その少女が、こっちだ、と言って歩き出してしたので、仕方なく後についていくことに。
程なくして、職員室に着いた。途中で見た教室が休み時間のような喧騒に包まれていたところをみると、どうやら朝礼はまだのようだ。
「ここだ」
前を歩いていた少女が振り返って言う。
振り返り様、髪が微かに揺れた。
「え-っと…ありがとう。助かったよ」
「どういたしまして」
それだけを言って、少女は歩いていってしまった。
なんとなく興奮しているようにみえたのは気のせいだろうか…。
何はともあれ職員室に着くことができたので、コンコン、とノックして中に入る。
…職員室はあまり好きじゃない。というか好きなやつがいたら今の俺と変わって欲しい……。
近くにいた先生に転校してきたことを伝えると、ある先生のところへ案内された。ふっくらとしていて、優しそうな中年の先生だ。
「君が中村悠人君だね。僕が2-Cの担任の沢田です。よろしく」
「よろしくお願いします」
簡単に挨拶だけ済ませた後、朝礼の時にクラスで紹介するから着いてきてくれ、というようなことを言われて着いていくことに。
先生の背中を追いながら、先程の少女のことを考える。
何となく、懐かしいような気がしたからだ。
まぁ気のせいか、と思い直した時、ふと些細な疑問が浮かんだ。
あの少女は、なんで俺が転校生だとわかったんだ?
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