遥かなる時の中で

第三種接近遭遇

　教室のドアの前で、俺は呼ばれるのを待っていた。

　今日は転校生を紹介します、という先生の声に続いて、クラスのざわめきが聞こえてくる。

「じゃあ入って来て」

　こんな中途半端な時期に転校なんてするもんじゃない、と改めて思い知った……。

　クラスの注目を完全に独り占めしながら、教壇で自己紹介をする。

　やっぱ知らない奴ばっかりってのは辛いな…

　…ん？よく見ると、窓際の後ろから二列目の席に、先程の少女が座っている。

（あの人もこのクラスだったのか…）

　正直、悪い気はしなかった。ちょっと変わってるけど、嫌な感じはしなかったから。

「じゃあ、中村君はあの席に座って」

　先生が言ったあの席ってのは、例の少女の後ろ、教室の端っこだった。