プロローグ

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『中秋』 失踪(しっそう)した父、木下道夫の手掛かりが何かあるかもしれない。 そう考えた息子の和也は父の書斎に入った。 書斎の中は薄暗く、湿気を多く含んでおり、鍾乳洞(しょうにゅうどう)にいるような冷気が漂(ただよ)っていた。 昔から書斎に足を踏み入れることを道夫は固く禁じていたが、道夫について何の手掛かりも得られない今となっては、他に方法はないと和也は思った。
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