プロローグ

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広さ三畳ほどの書斎は、木の扉を入って左に、天井まで積み上げられた沢山の本が整然(せいぜん)と並ぶ本棚、そして右に、小さな木製の机、座椅子が置いてあり、正面に、カビと水アカだらけの小窓がついていた。 座椅子は、木で出来ていたが、相当年季の入ったもので、光沢は失われ、軽く焦がしたようなどんよりとした色をしていた。 座り続けた座布団は、空気をまるで含まない代わりに、湿気をたっぷりと含んだ重々しさを醸(かも)し出している。 和也は、椅子と同色の机の上に、開いたまま置かれている本を見つけた。
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