理想の彼女

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そうだ告白しよう。 そう考え付いたのは一カ月前だった。 好きになったのは三か月前で、もうだいぶ長い間この想いを持て余している。 それなのに未だに憧れの彼女に告白できていないことが情けなく、同時に悔しくなり、ぎりっと下唇を噛みしめた。 僅かに血の味がする。 噛みすぎた、ひりひりする。 そもそも、自分は何を怖がっているんだ。 告白なんて二言三言言葉を交わすだけで済む話だろう。 さっさと当たって砕けてしまえ。 いや、砕けちゃ駄目だ。 一樹は首を振る。 自分は知っている筈だ。 彼女がその可愛らしい容姿と誰にでも優しい性格から、男女問わず人気があるということを。 早くしないと見知らぬ誰かに、もしかしたら自分の身近な奴らに奪われる危険性がある。 そうしたら遠くから眺めていることすらできなくなる。 そうなればもっと悔しいだろう、悲しいだろう。 きっとその時になって自分は後悔するんだ。 ああ、あの時思い切って告白していれば悔いは残らなかった筈なのにと。 なんて悪戯に追い込んでみても、勇気なんて微塵も湧かない駄目な奴。 それが自分。
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