理想の彼女

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そうして今日も人知れず彼女を見つめるだけで、何の進歩も無いまま一日が終わっていく。 そんな事を考えながら一樹は黒板に向けていた視線を移した。 窓際の前から三番目。 肩で切りそろえられた綺麗な茶髪と大きな目がお気に入り。 名前は大井雪。 必死に黒板の文字を移している姿がなんとも可愛らしい。 まあ、彼女に恋をしている自分にとって彼女の行動は全てが可愛らしいのだが。 はあ。 一樹は今日何度目かの溜息をついた。 「青葉、どこ向いているんだ」 「すみません校庭がどうしても気になって」 「校庭?今はC組の男子が暑苦しく全力マラソン中だが?」 「息切れで苦しむ姿を見たくて」 担当の教師に呼びかけられ、ハッと我に返る一樹。
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