理想の彼女

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幼稚園から一緒の親友に冷たくされ、少々むくれながら自分のロッカーに向かおうとした時、ぱさりと机に一冊のノートが置かれた。 「よかったら使って」 「い、いいの?」 「うん」 「ありがとう!」 控えめに話しかけてきたのは、なんと雪だった。 全く予想のできなかった展開に、胸が高鳴る。 一樹の問いに彼女はにっこり笑うと教室から出ていった。 その後ろ姿を凝視しながら、借りたノートにそっと触れる。 実は雪からノートを借りるのはこれで二回目。 一回目に困っている時も、彼女はこうしてノートを持ってきてくれた。 その時に、恥ずかしながらころっと恋に落ちたというわけだ。
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