理想の彼女

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「可愛いよな」 突然の言葉に、自分の世界から呼び戻される。 可愛い、可愛い、可愛い。 それは分かっている、雪は抜群に可愛い。 だがそう思っているのは自分だけでないのを忘れていた。 隣の席を見ると、新がにやにやしながら一樹を見ていた。 そんな姿もイケているから腹が立つ。 同時に不安になる。 「お前はいくらでも女が寄ってくるハーレム王子だろう。彼女は好きに……」 「ならない」 「よし」 即答した新に安心して、緊張が解かれた。 その時に再びチャイムが鳴り、教師が教室に入ってくる。 そして授業が始まった。 「……先生、授業の準備をし忘れました。ロッカー行って来ていいですか?」 「こら」 一樹は出席簿で軽く頭を叩かれながら、一人廊下に出る。 教室を出る前に小さく笑う雪が目に入った。
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