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いつもと変わらない病院
いつもと同じ
何の変化もない
そんな゛1日"になるはずだった
「いい加減リハビリを真面目にしないと、いつまでも入院したままよ!?それでもいいんですか?確かに、もう一度立って歩くことは無理かもしれないけど…ある程度の生活は出来るようにならないと、病院側だって退院させられないんだから…」
そう言っているのは、僕の主治医。
いくら先生が何と言おうと、先生の話は僕の左耳から抜けていくだけだ。
なぜなら、僕は日本語が分からないから。
先生がうんざりしていることは表情から読み取れても、先生の話を正確に理解することはできない。
僕には日本語を学ぼうという意欲はさらさらなく、
ただただぼんやりと雲が一つもない青空を見ていた。
先生はそんな僕にあきれたか、看護師を呼び、僕の車椅子を引かせて部屋から出した。
この看護師は僕が日本語が分からないのを知っているのか、一つも話しかけてこない。
妙な緊張が感じられた。
エレベーターの前に車椅子を止め、
「ここからは一人で行けますよね?」と中国語で話してきた。
ぎこちない中国語ではあったが、何とか聞き取ることができた。
僕は何も言わずに開のボタンを押した。
エレベーターは、どこにも止まらずに真っ直ぐに五階にきた。
そして、無言でエレベーターに乗りこんだ。
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